益虫というのは、畑や家庭菜園にとって有益となる虫のことです。野菜を荒らす、害虫を食べたり野菜の受粉を助けてくれます。
今回は、家庭菜園で特に役立つ『益虫の種類』と庭や畑に『益虫を集める方法』を紹介します。益虫は、数十種類いるので特に有益な益虫を厳選して紹介します。
益虫の種類
テントウムシ

ナナホシテントウムシ
テントウムシは、最も有名な益虫です。ナナホシテントウ、ナミテントウは、アブラムシを食べるテントウムシで一番よく見かけます。幼虫は、1日に20匹くらい、成虫は1日に100匹以上のアブラムシを食べます。テントウムシの幼虫は、グロテスクで害虫のように見えるので間違って駆除しないようにしましょう。

ホトケノザの葉に乗るテントウムシの幼虫
ヒメカメノコテントウ、コカメノコテントウは、ナナホシテントウと比べて二回りくらい小さい(体長3~5㎜)テントウムシです。薄いオレンジ色の体に、黒い模様があります。この模様は個体差が大きく、サッカーボールのような亀形になっていたり、縦に一本線だけ(せすじ型)、全体が真っ黒(黒化型)もいます。

ヒメカメノコテントウ(亀甲形)

ヒメカメノコテントウ(背すじ型)
ヒメカメノコテントウ、コカメノコテントウは共にアブラムシを食べます。(ヒメカメノコテントウとコカメノコテントウは似ており素人には判別困難です・・・)
また、ヒメカメノコテントウは「カメノコS」として天敵農薬として販売もされています。露地だと逃げてしまうので、ビニールハウス内などで使います。
キイロテントウは、名前の通り黄色いテントウムシです。このキイロテントウは、うどんこ病の菌を食べてくれます。カイガラムシを食べるテントウムシもいて、ベニヘリテントウといいます。
注意しなければならないのは、ニジュウヤホシテントウ(テントウムシダマシ)といってテントウムシによく似た害虫がいます。オレンジ色の体に、黒い点々があります。

テントウムシダマシ
テントウムシとの判別方法としては、『体の点が多い。うぶ毛が生えていてテカテカしていない。動きが遅い。』という特徴があります。ナス科の植物の葉を食べたり、実をかじったりします。天敵があまりいないので発生するとかなり増えるので厄介です。
カマキリ

カマキリ
カマキリの成虫は、バッタ、蝶、ハエ、カメムシなどの昆虫を食べてくれます。また、カマキリの赤ちゃんは『アブラムシ・コナジラミ・アザミウマ』など小さな害虫を食べてくれます。
1つのカマキリの卵からは、100~200匹の赤ちゃんが生まれます。カマキリは、幼虫などがなく生まれた時からカマキリの形をしています。カマキリの赤ちゃんは、脱皮を繰り返してどんどん大きくなります。

カマキリの卵
蜘蛛(クモ)
クモは、「巣を張る蜘蛛」と「巣を張らない地蜘蛛」に大別されます。
巣を張る蜘蛛は、蝶や蛾などを、蜘蛛の巣に捕まえて食べてくれます。

蜘蛛
地を這う蜘蛛(地蜘蛛)は、土の中に穴を掘って巣を作ります。アリ、ダンゴムシなどの昆虫を食べます。また、地蜘蛛の中でも大きな蜘蛛(アシダカグモ)はゴキブリを食べてくれます。
地蜘蛛が家庭菜園で有益な点は、バラ栽培で発生するバラゾウムシ・チュウレンジバチを食べてくれることです。バラゾウムシはバラのつぼみに穴を開けたり葉をかじる厄介な害虫です。
チュウレンジハバチは、オレンジ体で羽が黒い害虫です。茎に卵を産み付けて、茎の中で生まれた幼虫が外に出てきて、葉の周りに整列して食べます。バラの茎が避けているときは、チュウレンジバチの幼虫が発生していないか確認しましょう。
ちなみに、雲の中には毒をもっているもいるので注意しましょう。代表的な毒蜘蛛はセアカゴケグモです。黒いフォルムにお尻に赤い斑点があります。
クサカゲロウ
クサカゲロウは、幼虫の時にアブラムシ、カイガラムシ、ハダニを食べます。1日で60匹程のアブラムシを食べるといわれています。食べた残骸を背中に乗せる習性があり、天敵から身を守るためにカモフラージュしているそうです。4~10月の間に、3世帯入れ替わり、幼虫が活躍してくれます。ちなみに、成虫も肉食ですが幼虫の頃程はアブラムシを食べなくなります。
葉っぱから垂れるように糸があり、糸の先に丸い卵がついていれば、クサカゲロウの卵です。
ハナアブ

ヒラタアブ(ハナアブ)
ハナアブは、たくさんの種類がいますがその中で益虫として優秀なのがヒラタアブです。ヒラタアブは、幼虫の時にアブラムシを食べてくれます。
ヒラタアブの卵は卵楕円形で小さくて白く、アブラムシの卵に似ています。生まれたときは、スケルトン状の芋虫でウジ虫に似ています。成長していくと緑や茶色が濃くなって、とげとげがでてきます。幼虫の間に、200~300のアブラムシを食べるようです。
健康な野菜にウジ虫がつくことはないので、野菜にウジのような幼虫がいるときはヒラタアブの幼虫である可能性が高いので駆除しないようにしましょう。成虫になると蜂のような黄色と黒のストライプ柄になります。蜂との見分け方は、目が大きく顔の2/3が目です。成虫は、花粉を食べるので受粉を助けてくれます。
益虫を庭や畑に集める方法
益虫を畑や庭に集まるのは草花の多い場所です。なぜなら、益虫の隠れ家(住み家)や餌が集まるからです。
テントウムシ、ヒラタアブ、アブラバチは、アブラムシがいるところに集まります。そこでわざとアブラムシが集まる植物(バンカープランツ)を植え付けます。
また、庭に勝手に生えてくるイネ科、キク科、マメ科の雑草は、アブラムシを集めてくれるものも多いです。したがって庭や畑に生える雑草は、全て駆除せずにある程度残した方が良いです。雑草が増えすぎたときは、根から駆除せずにある程度の高さを残して刈り取るようにしています。そうすることで、益虫の隠れ家となり地蜘蛛、カマキリなども集まります。

カラスノエンドウ
ちなみに、バンカープランツの選び方は近くに育てている野菜と異なる科の植物にするとより効果的です。なぜならマメ科の野菜にはマメアブラムシ、ネギ類にはネギアブラムシ、ナス科・ウリ科にはモモアカアブラムシ、ワタアブラムシというように、アブラムシの種類によって食べる野菜の種類が違うからです。
ちなみに、バラ栽培のバンカープランツにはネペタ、オルレアなどのハーブがいいようです。
蜘蛛の巣を張る蜘蛛を呼び込むには、背の高い植物を生やしておくことです。そうすると、電線のように草と草の間に蜘蛛の巣を張ります。50㎝くらいの間隔で、支柱を建てておくのもおススメです。支柱を使って、蜘蛛の巣を張ってくれます。
クサカゲロウは、光に集まる習性があります。その為、街頭や民家の網戸などに集まってくることが多いです。他にも、マタタビにクサカゲロウは引き寄せられる性質があるようです。
まとめ
畑の雑草をすべて除去してしまうと、虫たちの餌がなくなり野菜に害虫が集中してしまいます。適度に、雑草を残したり、緑肥を植えることにより自然界のバランスが保たれてアブラムシなどの野菜の害虫だけが増えすぎることが防げます。
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