緑肥作物と野菜の混植は、野菜の生育に良い影響を与えます。『土壌改良、害虫抑制、センチュウ抑制、野菜の生育促進、連作障害予防』など様々な効果があります。
今回は緑肥作物として、代表的なイネ科の植物『マルチムギ、エンバク、ソルゴー』の使い分けについて紹介します。この3つは、有機物(炭素)の成分が比較的多く土壌改良効果が大きいです。
緑肥作物の効果
緑肥作物は、土を豊かにして野菜の生育を助ける植物です。
畑に鋤き込んで有機物を増やしたり、センチュウを抑制したり、根を深くまで張って土を柔らかくしたり、益虫を呼び寄せるバンカープランツとしても役立ちます。
また、緑肥植物を植え付けることで土の中の微生物が豊かになり、連作障害予防にもなります。
緑肥作物の使い方
マルチムギ
マルチムギとは
マルチムギは、名前のとおりマルチの代わりになるムギです。草丈が25~30㎝程までしか伸びないので野菜の日照を妨げません。
カボチャ、スイカ、ズッキーニ、サツマイモなど草丈が低い野菜の周囲に植えるといいでしょう。
マルチムギ効果
マルチムギは、背が高くならないので背が低い作物の日照を奪いません。枯れた後は、敷き藁として使うことができます。
マルチムギの中でも、早枯れタイプの『マルチムギワイド』がおススメです。6月頃には、枯れるので収穫時期(着果時期)に野菜の養分を奪いません。
マルチムギの種まき時期
マルチムギの種まきは、3月~5月くらいまでです。2ヶ月ほどで茂るので、他の野菜の植え付けと考慮して育てましょう。緑肥作物の種まきの基本は、ばらまきです。
畑の通路や畝の間などに、ばらまいてレーキや熊手で軽く土と混ぜ合わせます。1~2㎝と浅めに植え付けるのが発芽のポイントです。ムギは、吸肥力が強いので特に肥料などは必要ありません。
エンバク
エンバクとは
エンバクも緑肥としてよく使われる作物です。ほっておけば草丈は、1~1.5m程まで成長します。したがって、トマト、ナスなど背が高くなる野菜の周囲に植え付けると良いでしょう。
エンバクの草丈が、40~50㎝くらいになったら株元を数センチ残して刈り取って、通路敷きます。エンバクは何度でも再生して生えてくるので、これを繰り返せばたくさんの有機物を畑に投入することができます。
エンバクの効果
エンバクは、刈り取って敷き藁にしたり、畑に鋤き込んで土壌改良にも使えます。土壌改良効果や、センチュウ密度を減らす効果も期待できます。
刈り取りは、鎌でも良いですが、立ち刈りハサミなどがあると便利です。
また、ムギは吸肥力が強いので夏野菜を育てた後に余分に残った肥料を吸収する効果もあります。
エンバクの種まき時期
春まき、秋~冬まきの2シーズンで育てることができます。春まきは、3~5月頃、秋まきは、9月~11月頃に行います。
ソルゴー
ソルゴーとは
ソルゴーは、根を深く張り、草丈が大きく成長します。肥えた土壌だと、2~4m程の高さまで成長します。障壁植物として風を防いだり害虫が畑に侵入するのを防いでくれます。
ソルゴーの効果
ソルゴーは、大きく成長するので刈り取ると大量の有機物を採取することができます。刈り取ったソルゴーは、有機物を多く含む(C/N比35~40)ので分解に時間がかかります。次作の切り替え時の間作などに利用すると良いです。
また、畑を囲うように植え付けて障壁植物としてたり、日よけにもなります。
もちろん、イネ科の植物にはアブラムシが寄り付くのでそれを捕食するテントウムシなどの益虫を畑に呼び寄せることができます。
ソルゴーの種まき時期
5月上旬から7月上旬の間に種まきをします。
緑肥植物植え付けの注意
夏野菜と緑肥植物の混植は、それほど気を使わなくて大丈夫です。
ただし、キャベツ、ハクサイ、シュンギク、タカナなど秋に育つ野菜と緑肥植物を一緒に育てる場合は注意が必要です。
気温が下がると地中の微生物の活動が下がるので、地中から供給される窒素分が少なくなります。その為、野菜と緑肥植物の間で肥料分の競合が起こります。
ソラマメ、エンドウなどは、秋野菜ですが本格的に成長するのは春先からなので競合の心配はありません。
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