スイカの種まき
スイカを種から育てる場合は、畑やプランターに直接まくよりもポットを使って育てるほうが管理しやすいです。ポットを使った種まきを説明します。
スイカの種は硬い為、発芽後に双葉の成長を阻害することがあります。したがって、種まきの前に水につけて柔らかくしておくと良いです。
ポットは、3~4号(9~12cm)を用意します。土は、ホームセンターなどで種まき専用の用土を購入して使うと楽です。ポットに土を9割ほど入れて水を入れます。下から水が出る程度まで水を入れて土を湿らせて置きます。
市販品は、非常に乾燥しているので最初は水をはじくので少しずつ水を加えて湿らせます。
ポットの真ん中に、直径3~4cm、深さ1cm程度の穴を開けて種を2粒ほど離して撒きます。
種まき後は、土の表面が平らになるように埋めます。
スイカは、嫌光性種子と言って、暗い場所の方が発芽しやすいです。ポットの上に、新聞紙などを置くと保温効果と暗くできるのでお勧めです。
スイカは、25~30℃が発芽しやすい温度です。早めに種まきした場合は、室内やビニールハウスなどで管理すると良いでしょう。
逆に暖かくなってから、室内で育てると徒長の原因となります。暖かい時期は、野外で管理したほうが丈夫な苗が育ちます。
水やりは、朝に1度行います。室内で、少量を管理するなら霧吹きなどで水やりすると周囲を汚しません。(1つのポットに付き10プッシュくらいします)発芽までは、土を湿らせて置きましょう。

発芽後
発芽後は、日当たりの良い場所に置き、水やりは朝に1回行います。葉が少ないうちは、水の蒸散量も少ないので水のやりすぎには注意します。特に、夜に水を与えすぎると徒長の原因となります。苗がカイワレ大根のようなひょろひょろ伸びたら失敗です。
このような苗は、『胚軸切断接ぎ木』という対処法があります。

間引き
本葉が2枚くらいになったら、間引きを行います。状態の良い苗を残して、他方を引き抜きます。良い苗は、徒長しておらず、太くてずんぐりしているものです。徒長させないことが最も大切です。
スイカの植え付け
植え付けは本葉が4~5枚ほどで行います。種から育てた場合は、30~40日後くらいになります。
スイカは、水はけのよい土壌が生育に適しています。スイカの生産地である鳥取などでは砂のような畑で栽培しています。
- 植え付けの2週以上前に、1㎡あたり100g(握りこぶし2個分)を撒き良く耕します。
- 植え付けの1週間ほど前に、1㎡あたり100gの化成肥料、2㎏の堆肥を撒き良く耕します。
畝を作り、ポットが埋まる程度に中心に穴を開けます。スイカは、乾燥気味に育てたほうが甘く美味しくなります。露地栽培など雨に直接あたる場合は、20~30cmの高めの畝を作り浅めに植えると水はけが良くなります。
ポットを逆さに向けて、下の穴を抑えるとポットから苗が取り出せます。植え付け前に、ポットに水やりして湿らせておくと、ポットの土が崩れにくくなります。ポットの苗は土を崩さないでそのまま植え付けます。
マルチを張って、苗を植え付けます。苗の土が1cmくらい上にはみ出るくらいの浅植えにします。
ウリハムシの予防に、ホットキャップもしくは虫よけネットをします。(夜間の気温が低い場合は、ホットキャップで保温します。)小苗の時に、虫にかじられると生育が悪くなります。スイカの苗は、ウリハムシが必ず来ますので注意。
植え付け直後に、水やりをして土と馴染むようにします。
スイカの植え付け後の管理
親蔓の摘芯
植え付け後、本葉が5~6枚になったら親蔓の先端を摘芯をします。親蔓というのは、根元から伸びる一番太い蔓のことです。
手でちぎったので大丈夫です。はさみで切る場合は、切り口に接触しますので清潔なハサミを使いましょう。
親蔓を摘芯すると本葉の根本から子蔓が伸びてきます。複数伸びた子蔓の中で、勢いの良いものを3~4つ選んで育てます。4つの子蔓以外は、摘芯します。
スイカの栽培方法は、いろいろありますが4本の子蔓を伸ばして子蔓の15~25節の雌花に受粉させるのが一般的です。
スイカの追肥(1回目)
1回目の追肥は、子蔓が50cm程度伸びたときに行います。株の周囲50cmを囲い込むように、化成肥料50g程を撒きます。
肥料を与えすぎると、蔓ボケの恐れがあるので肥料の与えすぎには注意します。
敷き藁
蔓が伸びてきたら、スイカの周りに敷き藁を敷きます。家庭菜園では、敷き藁を用意するのはなかなか難しいでしょう。安価で敷き藁の代わりになるものはいろいろあるので心配いりません。
- 布繊布
- 雑草
- すだれ
- 空中栽培
関連記事:スイカ栽培で敷き藁の代わりになるもの
スイカの人工受粉
スイカの実を作るには、受粉が必要です。虫や風などにより自然に受粉することもありますが、雌花が少ないので確率が低いです。確実に収穫するためには、人工授粉を行いましょう。
午前中(朝が良い)に雄花を摘み取って、雌花の先端に軽く擦りつけます。
雌花は、開花時期が短いので見逃さないようにしましょう。また、雌花は小蔓の5節に1つくらい咲きます。
ちなみに美味しい実を育てるには、人工授粉させる雌花の場所と蔓勢が重要です。
- 受粉させる雌花は、子蔓の15~25節目で蔓勢が良いこと
- 蔓勢が適切であること
それぞれを、もう少し詳しく説明しますね。
<実をつける場所>
美味しい実を作るには、子蔓の15~25節目の間の雌花を受粉させることが必要です。
これより、低節目(14節以下)で受粉させると実が大きくならなかったり平べったい形になります。
逆に高節目(25節目以上)だと、変形果や空洞果になる可能性が高まります。
<蔓勢について>
蔓勢とは、『つるの成長する勢いのことです』。この、蔓勢が弱すぎてもいけないし強すぎても駄目です。ちょうどいい蔓勢は、朝に蔓の生長点(先端)が45度程度上向いている状態です。そして、日中は少しつるの角度が下がる状態です。

先端が45度程度持ち上がる
また、蔓勢が適切であれば雌花が開花する場所は蔓の先端から50cm程度になります。

蔓の先端から開花位置までの長さ
この2つの条件を満たしていることが甘くておいしいスイカの実を作る最低条件です。ちなみに、樹勢は肥料の量で調整します。
摘果
大玉スイカの場合は、子づる4本整枝1~2果どり
小玉スイカの場合は、子つる4本整枝3~4果どり(サマーオレンジベビーは例外で、1果どり)
での栽培が一般的です。複数の雌花が受粉した場合は、摘果します。一度にたくさん育てようとすると栄養が分散して、甘みがない果実になってしまいます。
追肥(2回目以降)
2回目の追肥は、受粉後にスイカが握りこぶし大になったときに行います。株とスイカの実の中間あたりに、化成肥料を撒きます。
その後、3週間間隔で追肥します。
鳥避け
握りこぶしくらいの大きさになると、カラスや動物に果実を食べられる心配があります。
もっとも確実なのは、物理的にカバーすることです。
洗濯カゴ、ホットキャップをかぶせる、鳥避けネットで苗全体を囲う、野菜ネットで実を包むなどです。

カゴで鳥や動物から守る
その他は、鳥の模型やCDを吊るしたりする方法などもありますがあまり効果がありませんでした。広い畑の場合は、カゴの数が大量となるのでテグスがカラス除けには効果的です。

防鳥糸
スイカの収穫
収穫時期の判断は、『受粉からの経過日数』『積算温度』『巻きひげの状態』などから総合的に判断します。
- 7月収穫であれば大玉スイカで45~50日、小玉スイカで35~40日
- 積算温度は、大玉で1000℃、小玉で800℃
- 巻きひげ枯れてくる。
巻きひげが枯れた状態
- 花落ち部分のへこみが深くなり弾力が出る。
スイカの花落ち部
- 接地面の地肌が濃い黄色になる。
- 果実の肩が張り光沢が出る。
受粉からの日数とこ、巻きひげの2つは、素人でもわかりやすいのでこの2点を確認しておけば大抵は大丈夫です。
自分で育てたスイカに包丁を入れるときは、ドキドキしますね。種が黒くなっていたら熟している証拠です。
茶色い種や白い種が多い場合は収穫時期が早すぎということです。

紅小玉

紅小玉
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