タマネギの種を畑に直蒔きで育てる方法

タマネギの収穫時期

タマネギを育てる一番のポイントは、植え付け時期を守ることです。早生種、中生種、晩生種など品種により生育時期が異なります。

早く植えすぎるとトウ立ちして球が太らずに芯が固くなります。反対に、植え付けが遅れると越冬までに苗が育たず球が十分に育たないこともあります。種の説明書をよく読んで植え付け時期を間違えないようにしましょう。

種から育てる場合は、8月下旬~9月下旬に種まきをします。苗から植え付けるなら11月中旬~12月上旬くらいになります。(品種・地域により異なります。)

ホームセンターなどではけっこう早めに苗が売られているので植え付けが早くなりすぎないように注意してください。

ちなみに家庭菜園で大量に作る場合は、保存性の高い晩生種がおススメです。

畑の準備

農家のタマネギの栽培では、苗床や育苗箱に種を蒔いて苗を育てて、ある程度の大きさになったら畑に移植するという方法です。この方法のメリットは、『生育スピードをそろえることができる、畑のスペースを有効利用できる、種を無駄にしない』ということです。

しかし、家庭菜園であれば保管の関係上、生育にばらつきがあったほうがよいです。また、畑に直播きしたほうが手間が楽なので今回は畑に種を直蒔きで栽培する方法を紹介します。

土づくり

タマネギは、連作障害が出にくい野菜です。4年くらいは連作できるそうです。砂質の土壌は栽培に向いておらず、比較的肥えた土壌が栽培に向きます。

植え付けの2週間以上前に、1㎡当たり100gの苦土石灰を撒いて良く耕します。

植え付けの1週間以上前に、1㎡当たり堆肥2kg、配合肥料150gを撒いて良く耕します。

タマネギの畝づくり

タマネギの畝づくり

生育期間が長いのでマルチをしておくと除草の手間が少なくなります。株間15㎝、列間10㎝くらいの穴をかけたマルチを敷きます。

タマネギの畝にビニールマルチ

ビニールマルチ

種まき

空き缶などの底を押し付けて、マルチの穴に0.5㎝くらいの溝を作ります。

タマネギの種の植穴を掘る

植穴を掘る

軽く覆土して種がを埋め戻します。植え付ける種は、晩生種の吊りタマネギです。

タマネギの種袋

タマネギの種袋

タマネギの種

タマネギの種

一つの穴に5~6粒の種をばら蒔いて、薄く土を被せます。

タマネギの種を畑に直播き

タマネギの種まき

種は、小さいので雨などで流されないように不織布をべた掛けしました。土壌の乾燥予防にもなります。その後、たっぷりと水やりをします。

タマネギの種蒔き後に不織布をべた掛け

不織布をべた掛け

植え付け後の管理

水やり

種蒔き後に水やりをしておけば、後は雨などに任せておけば発芽します。1週間以上、日照りが続くようなら、たまに水やりをした方が良いかもしれません。

発芽後は、水やりは不要です。発芽したら、べた掛けしている不織布を外してやります。このまま、越冬させます。越冬するときに、葉が鉛筆の太さくらいに育っているのが理想です。

タマネギの種の発芽

タマネギの発芽

除草

マルチの隙間から雑草が生えてくるので時々、草抜きをします。

タマネギのマルチの隙間から雑草

マルチの隙間から雑草

追肥

1月上旬~2月下旬頃の期間に追肥を2回行います。緩効性の化成肥料を1㎡当たり50gを撒きます。肥料は、マルチの上からばらまいたので大丈夫です。

タマネギの追肥

タマネギの追肥(1回目)1月上旬

じつは、種まきが3週間くらい遅れたため生育が遅れています。

さらに1か月後くらいに、2回目の追肥をします。少し育ってきました。このくらいのサイズで越冬するのが理想でした・・

タマネギの2回目の追肥

追肥(2回目)2月中旬頃

2月下旬を過ぎたら、追肥を行わないように注意してください。収穫時期まで土に肥料が多く残っていると、病気になりやすかったり、貯蔵性が悪くなります。

間引き

4月頃には、1つの穴に1本になるように間引きをします。(段階的に間引いても大丈夫です。)間引いた、株は葉タマネギとして食べることができます。葉ネギなどの代わりに使えます。

タマネギを1本に間引き

1本に間引き

その後、生育していくと玉の部分が肥大して地上に飛び出てきます。

タマネギの玉の肥大

玉が肥大してくる(5月頃)

収穫・保存

茎が枯れてきて、倒状してきたら収穫時期です。晩生種では、6月頃になります。

1週間程晴天が続いた日に収穫します。

タマネギの収穫時期

収穫時期

茎元をつかんで、まっすぐに引っ張ります。

タマネギの収穫

タマネギの収穫

茎を切らないで、ネットなどに入れて風通しの良い場所で保管します。晩生種の場合、しっかりと乾燥させれば、半年以上保存することができます。

タマネギの収穫

タマネギの収穫

茎を紐で縛って束ねて、軒下などにつるしても良いです。

植え付け時期が遅れたので、小さな玉も多かったです。

タマネギを乾燥させる

タマネギの保管

茎を切ると切り口から黴菌が入り腐りやすくなります。軽く土を落として、紐で縛ってつるしたり、乾燥ネットに入れて乾燥させます。

病気・害虫

タマネギは、比較的病気が少ないですがときどき発生することがあります。

べと病

タマネギで最も重要な病気が、ベト病です。

ベト病は、土壌の中のカビ(卵菌類)により、引き起こされる病気です。感染すると、葉に黄色化した病斑ができ、そこから降り曲がります。

発生した株は、破棄して殺菌剤を散布します。Zボルドーは、有機栽培でも使える殺菌剤です。

治療に使える薬
ダコニール1000、アミスター20フロアブル、銅剤(Zボルドー水和剤)

予防としては、『敷き藁やマルチで泥ハネを予防する。、排水の良い場所で栽培する、防除薬剤を散布する』などです。

予防と治療に使える薬
リドミルゴールMZ、ベトファイター顆粒水和剤、レーバスフロアブル、ランマンフロアブル、プロポーズ顆粒水和剤

アブラムシ

害虫として多いのが、ネギアブラムシです。黒色をしたアブラムシで、葉について吸汁します。ウイルスなどの病原菌を媒介するので、発生したら殺虫します。油を希釈した自作スプレーなどで駆除できます。

予防としては、シルバーマルチ・シルバーテープを設置する。バンカープランツを植え付けて、テントウムシなどの益虫を畑に呼び込む、などの方法があります。