キャベツ、レタス、ブロッコリー、小松菜、カブなどアブラナ科の野菜の根にコブのようなものができていたら、根こぶ病です。
そして、アブラナ科の根こぶ病の原因は、ネコブカビというものです。今回は、アブラナ科野菜に感染するネコブカビの生態とその対策方法を紹介します。
ネコブカビとは
ネコブカビは、根こぶ病の原因となる生物です。アブラナ科の根に感染して増殖します。根の細胞内で増殖して、根の働きを妨げて生育を阻害します。
アブラナ科の植物が無くなっても、土の中で休眠して十年以上生き延びます。休眠したネコブカビは、近くにアブラナ科の根が伸びると、再び休眠から目覚めて根毛に感染します。
根毛に感染したネコブカビは、そこで変位・増殖して次は、側根・主根などの皮層に感染して害を与えます。
繁殖力が強く、一度発生した畑では何らかの対処が必要です。高温期の定植、酸性土壌、水はけの悪い土壌で発生しやすいのが特徴です。
ネコブカビによるアブラナ科の被害
アブラナ科野菜でも、被害にあいやすい野菜とそうでない野菜があります。
被害が大きい野菜
「ハクサイ」は、ネコブカビの被害を大きく受けます。なぜなら、ハクサイはひげ根であり、根毛が多い野菜です。
ネコブカビの遊走子は、根毛から侵入して増殖します。ハクサイの栽培期間は、60~100日程と長いのでその間に爆発的にネコブカビが増殖して根の働きを失います。
被害が中程度の野菜
「キャベツ、ブロッコリー」は、直根で根が深くまで伸びます。地中深くでは、ネコブカビが働きにくくなり被害は、限定的となります。
被害が少ない野菜
「コマツナ、カブ」は、栽培期間が短いのでネコブカビが増殖して被害にあう前に収穫できます。特に、コマツナは、栽培期間が30日程と短いです。カブも、小カブだと特に栽培期間が短く被害にあいにくいです。
「ダイコン」の主根(皮層)には、ネコブカビが浸入することができません。その為、ダイコンはネコブカビの被害を全く植えける心配がありません。
ネコブカビの対策
粉剤を撒く
最も確実な予防法は、殺菌剤を撒くことです。いろいろな種類がありますが、休眠胞子を低減させるのに有効なのが「オラクル粉剤」です。1㎡あたり20~30gを撒いて良く耕します。
土壌の酸性改良
ネコブカビは、酸性の土壌を好みます。その為、畑づくりではしっかりと石灰を施してph7以上になるようにします。
ダイコンで除菌する
ダイコンを植え付けると、ネコブカビの休眠胞子が目覚めて遊走子となります。この遊走子は、ダイコンの根毛に侵入します。しかし、ダイコンのの主根の皮相細胞には遊走子は侵入できません。
ダイコンを収穫すると、ダイコンの根毛に付いたネコブカビを掃除できるというわけです。もちろん、ダイコンはネコブカビの被害にあいません。
高苗、通路にムギを撒く
ネコブカビの遊走子は、水の中を泳いで移動します。そこで、高苗にして水はけを良くしておくことで遊走子が移動して増殖しにくくなります。
また、畝と畝の間の通路に、麦類を撒くと「水が溜まりにくい、ムギの根により遊走子が移動しにくくなる」という効果が期待できます。
特に、ムギの中でもエンバクは根からアベナシンという殺菌物質を出して遊走子を減らす効果が期待できます。
成分分解性ポットを使う
成分解性ポットとは、そのまま植え付けてもしばらくすると土の中で分解されるポットのことです。ポットのまま、畑に植え付けます。
ポットが、野菜の根を守ってくれるのでネコブカビの感染を遅らせてくれます。特に秋植では寒くなるとネコブカビの活動も鈍くなるので、無事収穫できる可能性が上がります。
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